虫歯|歯周病|ケガ
「生きる力」と、
細菌感染としての虫歯・歯周病
学校や会社の歯科検診で指摘され、初めて気付く。
この状況を変えるために。
日本人にとって、虫歯は「誰もがなるもの」。
それは病気として認識することに違和感を感じるほど、なぜか不思議と身近な印象があり、これまでずっと軽視されてきました。
削って詰めれば治せてしまう。それが現在までの歯科医療に対する一般的な認識だと思います。しかし、少し広く長い視点で捉えると、虫歯は「生きる力」を徐々に弱めてしまう病気であるとも言えます。
健康な肉体と精神を維持するために生涯を通じ基本となる「食」、そして消化吸収活動。この消化器官としての歯を(歯は臓器です)細菌により少しづつ失ってゆく疾患が虫歯であり歯周病なのです。
徐々に「生きる力」を奪う病気
たったの一度、少しでも削ってしまったり、あるいは欠けたり抜け落ちた歯は、骨のように自己再生することはありません。
むしろ再発を繰り返し周辺に悪影響を与えるリスクが高まるばかり、治療の度に削られ少しづつ、しかし確実に喪失へと向ってゆきます。
それはまた消化吸収の機能を弱めるだけではなく、食べる喜びの喪失、違和感、外見的コンプレックスによる心理負担など、自分らしいハツラツとした生き方や若さをも奪ってしまう原因となってゆきます。
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誤った認識がもたらす病気
現在の日本においては、ほとんどの方がある程度の年齢になると虫歯や歯周病で多くの歯を失ってしまいます。そして人生の後半では入れ歯を使い、思うように食事ができないまま不自由な生活を余儀なくされていらっしゃる。歯科医療に携わる者として大変残念に感じますがそれがこれまでの現実。「誰もがなるもの」という認識の先に続いているのは、決して戻ることのできないこのような現実なのです。
>>> 歯を守る自分だけの方法
お口は心身の健康と幸福の基本
日本人成人の約8割、そして成人だけではなく若年者にも多くみられる歯周病は近年、全身疾患のリスクファクター(病気の原因となる危険因子)となることがわかってきました。歯を奪い食事の楽しみや生きる上での自由さを損なうだけではなく、糖尿病や心臓疾患、循環器疾患、動脈硬化、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産などと深く関わっています。
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「生涯を通じて歯を守る」
治療に関する基本的考え
◎発病する前に未然に防ぐこと。 そして、
◎たとえ病気になったとしても自覚症状が出る前に、
まだ問題が起こっていないうちに対応すること。
◎治療を行う際は「とりあえず治す」ではなく、
今できるベストの方法でしっかりと治療すること。※保険外診療
これらを日々の生活で意識し実践することで、発病と再発のリスクをかなり減らすことができます。まずは未然に。
けっして難しいことではありません。一人ひとり異なる身体特性と日常の中で無意識に繰り返すクセや生活習慣に潜む自分自身のリスクファクターを知り、科学的データに基づいた最新のアプローチで歯を失う本当の原因を私たちと一緒に取り除いてゆきましょう。
注意:保険診療には制約があり、未然に防ぐための診療や予防処置は健康保険の対象になりません。また使用できる材料や技術についても、生体親和性や色や形・質感などの点でより安全性・審美性に優れたものがあるのですが、それらは残念ながら健康保険の対象外となります。
虫歯から大切な歯を守る
虫歯の進行段階と治療方法
歯の表面のエナメル質が透明感を無くしている状態。
予防処置、経過観察を行い進行しないように管理します。
歯の表面のエナメル質が浸食された状態。
経過観察か、主にCRと言われる詰め物で処置します。
エナメル質を突き抜け深層の象牙質まで到達した状態。
CRと呼ばれる詰め物か、金属の詰め物で処置します。
内部の神経に達し歯髄炎を起こした状態。
多くの場合ひどく痛みます。根の先までの神経を掃除し、被せものをする処置をします。この段階では丁寧に治療をするためにはそれなりの回数がかかるようになります。
歯が根っこだけになっている状態。
痛みと我慢を繰り返してきたこの段階になると残念ながら抜かざるを得ないことが多くなります。また、歯髄に達していた虫歯菌が血管を通り動脈硬化や心臓疾患に影響することが近年解明され始めています。
虫歯はC1からC2、C3、C4と段階が進むにつれて処置方法や、起こりうるトラブルが大きく変わってゆきます。なるべく早い段階で気づき、次の段階に進めさせないよう繊細に処置をしてゆくことがとても大切となります。
>>> リスクファクターを知る
歯周病から大切な歯を守る
歯周病の進行段階と治療方法
歯周病は感染による炎症で歯肉がブヨブヨと赤く腫れてゆき、徐々に歯の周囲組織を壊し最終的には歯が抜けてしまう病気です。その進行度合いによって歯肉炎と歯周炎に分かれます。
炎症していても痛みがないため知らないうちに症状が進み、骨を溶かす細胞(破骨細胞)が活性され歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまいます。原因は歯の表面に細菌の塊であるプラーク(歯垢)が溜まること。
歯ぐきの表面が炎症を起こすことで始まり、時間が経過することでバイオフィルム(防御壁に守られた状態)となったプラークによりさらに症状が進行してゆきます。
お口の中には500~600種類の細菌が棲息し、そのうちの約20種類が歯周病の発症や進行に関係しているとされています。
歯ぐきの表面に炎症が起きている状態です。
ていねいな歯磨きで改善してゆきます。この範囲内であれば適切な対応で元の健康な歯ぐきに戻りますが、歯肉炎になっているかどうか判断しにくいので歯科医院での検診が必要となります。
歯ぐきの奥の方まで炎症が進行した状態です。
この段階になると歯を支える骨が無くなってきていますので、治療をしたとしても元の状態に戻ることは出来なくなってしまいます。処置としては、歯ぐきの奥の部分の歯石を取る処置が必要になります。
健康な状態から歯肉炎になり、さらに歯周炎へと進行してゆきます。どちらも同じようにプラーク(歯垢)を原因とした歯ぐきの炎症ですが、病気の段階として大きく異なります。歯周炎に進行させず出来る限り歯肉炎の段階で見つけることが大切ですが、自分で判断することは難しく歯科医院での定期的なチェックが欠かせません。
歯周検査はプロープと呼ばれる器具によって歯と歯ぐきの隙間にできた歯周ポケットを調べる方法が基本となります。一本づつ歯の周囲の深さを計り、この時の歯周ポケットの深さと、BOPという歯ぐきの出血チェックによって症状と進行の度合いを診断します。
初診の患者様でこの検査が初めてとおっしゃる方が多いのですが、歯石を取るにも歯周病の治療をするにも、今の状態を診断する上でとても大切な検査となります。
>>> リスクファクターを知る
ケガから大切な歯を守る
ケガとその場の対処方法
学校では外傷による歯や口のケガが毎年多く起こっています。
歯が折れた場合も、完全に抜け落ちた場合も、ぐらぐらする場合も、適切な処置をすれば回復できることがありますので、歯を持ってできるだけ早く歯科医院へ行きましょう。
折れたり抜けてしまった歯の処置には迅速さが重要。
抜けた歯の歯根膜はそのまま何もしなければ 30分くらいで死んでしまいますが、適正な処置により歯根膜が生きている場合は歯を戻すことで再び機能を回復する可能性があります。また、もし歯の根の先が出来上がっていない場合には神経も生き返ることがあります。
以下に注意し、早急に(30分~1時間)歯科医院で処置をしてください。数時間経った場合でも回復することがありますが、時間が経過すればするほど元の位置に戻しても回復する可能性は低くなります。
歯科医院に行くまでの注意点
- 根の部分には触れない。
- 水道水で洗う場合は15秒以内。
- 乾燥させない。
歯を口の中に含んだ状態、もしくは生理食塩水または牛乳に入れたまま歯科医院に持って行きます。
注意:水道水など普通の水での保存は不可。
歯のケガへの応急処置。
- 出血しているところがあれば止血します。
- 口の中の血はのどにつまることがあるので飲み込まず吐き出します。
- 口の中の異物は気道をふさぐことがあるので取り除きます。
- ケガをした方の不安を和らげるようにします。
衝撃により頭や眼などにケガをしていることもありますので、意識や歩き方、嘔吐、眼が見えにくくないかなども確認し、状況によっては先に総合病院を受診してください。
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